私の掏明くん
第23章 嬉しいけど悲しい
千尋「…はぁっ」
あれから
三週間が経過していた
時間が経てば自分の事を思い出してくれ
そうだったが
どんなに時間が経っても
東矢が千尋の事を思い出してくれる事は
なかった
千尋「…」
記憶とは不思議なもので
時が経てば経つほど記憶は薄れていき
掏明と過ごした日々は自分に都合の良い
夢だったと
思えるようにもなっていた
都合の良い幸せな夢
だけど掏明と過ごした日々は夢ではない
紛れも無い現実
その証拠に…
千尋「…夢じゃないんだよね」
首元のネックレス
誕生日に掏明がプレゼントしてくれた物
それが千尋の手元にある限り
掏明と過ごした日々
それが夢ではなく現実だという
証拠だった
千尋「こんなに辛いなら忘れたい…忘れ
たいよ…」