私の掏明くん
第10章 来客中
パシャッ(写真を撮る音)
千尋「…ん~」
掏明「…」
千尋「やっぱりダメか…」
翌朝
掏明より先に目を覚ました千尋
いつも掏明に起こしてもらっていた為
掏明の寝顔を見るのは
今日が初めてで
記念に写真を撮ったが
案の定、掏明の姿が写真に写る事はなく
誰もいない布団、ベッドだけが
写真に写っていた
千尋「…どういう事だろう」
掏明「何が?」
千尋「ごめん、起こしちゃったね」
掏明「起きてたから、何」
千尋「…写真撮ったの」
掏明「写真?」
千尋「だけどやっぱり写らなくて…でも
誰かがいる痕跡はある、ほらっここ見て
シワになって沈んでるでしょう」
掏明「本当だ」
千尋「ん~」
掏明の姿は
写真には写っていない
だけど布団にはシワがあり重みで沈んで
いる
これはまさに
ここに人がいる証拠
写真には写っていなくても掏明がいる
ちゃんといる、存在している
証拠だった