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砂漠の月、星の姫~road to East~

第1章 第一夜【砂漠へ~road to oasis~】

 光香子はスカートのポケットから一枚の写真を取り出した。その小さな写真の中で淳一と光香子が笑っている。光香子はその一枚の紙切れをそっと破いた。破いた写真は無数の塵となって宙に舞い踊り、やがて、乾いた風に運ばれて見えなくなった。
「もう一度、生きて―」
 光香子は、はるか東方を見つめて、そっと呟いた。この国に昔から伝わる火の鳥伝説、かの不死鳥は確かに異邦人の光香子に一瞬の奇蹟を見せてくれた。

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