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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 それでも、一人自室に戻り、褥に身を横たえる夜には、様々な想いが千々に入り乱れて明香は眠れぬ夜を過ごすことになる。王と共に過ごしたあの至福の夜のひとときがまざまざと甦った。
 忘れようとすればするほど、記憶は鮮やかな糸のようにひろがり、明香の心を絡め取り、もつれもつれて明香を苦しめる。有能な尚宮、王の側近として周囲に認められるようになればなるほど、明香の心は渇き、虚ろになっていった。

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