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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 王が苛立たしげに言って立ち上がろうとした時、少しふらついて卓に手を付いた。その弾みで、本に挟んであった栞がはらり、と、床に舞い落ちる。
 明香はしゃがみ込んで栞を拾い、そっと王に差し出した。王もまた受け取ろうと手を差しのべる。
 刹那、二人の指先がほんの少しだけ触れ合った。

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