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　怖い―。明香は知らずに後ずさっていた。
「何ゆえだ、何故、予から逃げる。尚宮とはいえ、そなたは後宮の女官だぞ？　後宮に仕えるすべての女官は予のものだと尚宮を務めるそなたなら、知りすぎるほど知っておるだろう」
　王が何か低い声で呟いたかと思うと、いきなり明香に飛びかかってきた。
「あっ」
　明香は悲鳴を上げた。