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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 流石に、こんなときには明香も何も言えなかった。ただ身を起こすと、座ったままの姿勢で後ずさり、後は逃げるようにその場を後にした。
 涙が止まらない。立ち止まったら、王が追いかけてきて捕まえられそうで、明香は夢中で走った。
 途中で脚がもつれ、転んだ。明香はその場に打ち伏したまま、いつまでも動かなかった。
 

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