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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 しかし、当の孫尚宮は、一体どういうつもりなのか。見たところ、自分が王に見初められたことを歓んでいるようには到底見えず、むしろ相当に抵抗したのであろうことが彼女の衣服の乱れぶりや怯え様からも窺える。
「孫尚宮」
 柳尚宮が呼ぶと、孫尚宮はピクリと華奢な身体を震わせた。柳尚宮はこれ以上愕かせないようにと、精一杯笑顔を作り、優しい声音で話しかけた。

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