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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 よもや、この娘は王をお慕いしているのではなかろうか。
 全く、どれもこれも―すべてが想定外のなりゆきだ。大抵のことであれば、海千山千の柳尚宮は先を見通せる。何がどうしてそうなり、この先、どうなってゆくのかを冷静に分析し、見極めるだけの力が自分にはあると自負していた。
 それは、後宮という閉鎖された特異な世界で三十数年、尚宮として二十有余年という気の遠くなるような日々を生き抜いて培ったものだ。

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