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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第1章 人知れず咲く花

 まだ六歳の明香を一人残して旅立った母を、考えなしの薄情女だと罵る者もいた。確かに、ある意味では、そうともいえるだろう。後に残してゆく幼い娘のゆく末も考えず、さっさと生命を絶った母を潔いと讃える人がいるはずもなく、むしろ遺された明香を憐れむ人の方がはるかに多かった。

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