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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第1章 人知れず咲く花

 仁明王后が早世することなければ、いずれ王と王妃は心通じ合った理想的な夫婦になるに相違なかったが、天はこの幸運な女性を妬むかのように、花の生命を奪った。当然、十四歳の夫婦に子がいるはずもない。王は若くして逝った王妃を悼み、その後、誰が何と言おうとも、頑として王妃を娶ろうとはしない。
 側室の一人さえ置かないこの状況では、王の子が生まれる見込は皆無で、大妃を初め大臣たちも皆、頭を抱えていた。

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