テキストサイズ

秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

 初めての謁見から十日ほど経たある日のことである。明香は宮廷の庭園の一角にいた。
―くどい奴だな。もう良い、下がれ。
 王の氷のように冷えた声が耳奥で今もありありと甦る。
 思わず溜息が洩れる。
 あそこまで他人からあからさまに拒絶されたのは生まれて初めての経験だ。明香は自分の立ち回りの悪さを心から呪った。物事を普段からあまり深刻に受け止めない明香だが、流石に今回の一件はこたえた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ