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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第1章 人知れず咲く花

 つまり、明香はたった十一歳でそんな運命を義務づけられたわけだが、当人としては、それほど悲観的になっているわけではなかった。明香のただ一つの取り柄が、楽観的というのか物事をあまり深く突きつめて考えないといったところにある。それに、考えようによっては、伯父夫婦の冷たい視線に晒されながら身を小さくして暮らすよりは、女官として働いていた方がよほど気楽で良い。
 ただし、柳尚宮から頂く毎度ながらのこのお小言の時間だけは頂けないけれど。

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