私立愛鷹学園高等部
第17章 *祈り*
-ヒカリside-
車に戻る。
旗四部はいないようだった。
微かに残る旗四部の香りが
オレの鼻をくすぐる。
あいつ、いい匂いすんだよなぁ…
甘いような爽やかなような…
「やべ、涙出てきた…情けな…」
ついさっきまでヤってたのに
嘘だろ?
なんで追わなかったんだ。
待ってくれって頼めば待ってくれるって知ってるのに…
違う、違うよ。
知ってるから追わなかったんだ。
夾と別れた時の逃げ道を作るために
あえて真南を選んだ。
「オレは…ずるいなっ……」
大人気ない大人。
いつか夾にフラれるって思い込んで
また傷つけて
落合に『泣かせない』って誓った
誓ったのに…
信じろ、アイツなら許してくれる。
オレを嫌うわけがない。