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第5章 気持ち

いつもの居酒屋に個室を用意してもらった。
「とりあえずビールでも頼むか?水神さんは呑める?」
「私、あまり呑めないので。」
俺の隣に座った彼女は、そう答えた。
「ところでさぁ、水神さん彼氏いんの?」
「いません。」
「じゃあ、いっつも帰ってなにしてんの?それに今日みたいに特別な日でも、まっすぐ家に帰るの?」
いきなりの質問責めに彼女の困り顔。
「「おい!!水神さん困ってんだろう!」」
俺と白石が同時に佐藤の襟を掴みながら言ったもんだから、佐藤は慌てて
「水神さんごめんね。」
彼女もびっくりして目が丸くなっていた。
「水神さぁん!!」
「あっ、大丈夫です(笑)ちょっと、びっくりしちゃって。」
彼女は顔を赤らめて下を向いた。



いつものメンツに彼女が加わっただけで、やけに楽しくてちょっと呑みすぎた。「永瀬さん大丈夫ですか?」
帰り道が一緒の彼女が俺を心配して顔を覗き込む。
か、顔近い!や、やばい…ヘンにドキドキしてきた。あいつらがあんな事言うから意識してしまうじゃねぇか!


「今日は楽しかったです。ありがとうございました。」
佐藤がわざとらしく「あれぇ、永瀬大丈夫か?呑みすぎてフラフラじゃねぇの?水神さん確か同じ方向だよね?一緒に帰ってあげてよ。めんどくさくなったら、そこらへんに捨てて帰っていいから!!」
「お、お前…」
「それに女の子が一人で帰るの危ないし、まぁ万が一なにかあっても永瀬を犠牲にすればいいからさ。」
「白石~!!」
急に佐藤と白石に肩を組まれ
「「お前いつまでも引きずるな!今のお前の気持ちで一歩踏み出せ。」」
「お、お前ら。」
感動してる俺の横で佐藤が
「水神さん永瀬に襲われないように気をつけて!」
「永瀬さんは、そんな事しませんよ。」
彼女は笑ってそう答えた。



すぐに答えない俺を心配してますます顔を覗き込んでくる。
「あっ大丈夫だから!」
俺は慌てて答えた。
「永瀬さん顔赤いですよ。ちょっと休憩して帰ります?もう少し歩いたら公園があるので…」
あの公園がある場所。

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