
君に恋した冬
第6章 高校生編スタート
そこには誰もいなかった
今、アキラに呼ばれた気がした
どうしてこのタイミングでアキラが…
あの時、犯されたあの場面でのアキラを思い出すならまだわかる。
だが、今のアキラは明らかにそれとは違い、優しい目で由梨を呼ぶ顔だった。
「どうかした?」
怪訝な顔で聞いてくる大智にもう一度振り返り
『少し…考えさせて』
そう言うと、大智は困った様に笑って
「わかった」
とだけ言った。
その後はお互い無言で家に着き、そのまま別れた。
大智くんは私が好き…?
私は、大智くんを好き…?
あの時ああしていればとか
そんな後悔の念が再び押し寄せる
1人で居るのが嫌になり、そのまま由梨は家を飛び出し
真っ直ぐにアキラのマンションへ足を走らせた
