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君に恋した冬

第7章 大事なもの





「何でもないよ。ね?由梨さん」



『あ…はい』



2人のやりとりにまた不機嫌そうにアキラは


「ありがとうございました。また来ます」


とオーナーに一礼し、由梨の腕を引いて店を出た

オーナーはニヤニヤしながら手を振っていた



「で、何言ってたの?さっき」


『えっと…』


まだ恥ずかしくて、しどろもどろに答える


『キスマークとか…なんとか…』


ごにょごにょ喋る由梨に
アキラは「あぁ」と納得してから
意地悪な顔をして


「何。まだつけて欲しい?」


『い、いい!!』



プイッと顔を背けて早歩きで歩く由梨を
アキラはクッと喉を鳴らして笑った



「いつでもつけてやるよ…消せないぐらい…」



ボソッと呟いたアキラの声は
由梨に届いていなかった





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