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君に恋した冬

第10章 一筋の光



「目が覚めてすぐに悪いね。すぐ終わらせるから」



いちばん若そうな刑事が
警察手帳を見せながら話し出した



「単刀直入に訊くんだけど、最近誰かに殴られたりとか、暴行を受けなかったかい?」



『…!!!』


びっくりしてその刑事の顔をまじまじと見る
その様子から肯定だと受け取った刑事が
さらに話を続ける


「運ばれてきたときにね、君の身体に無数の痣があると、こちらの先生から連絡を受けたんだ」


『…』


なぜか悪いことをしたような気分になり
心臓がバクバク鳴って飛び出しそうだった


「僕たちは君を救いたい。良かったら話してもらえないかい?」


私を…救う…?


何から…?



誰から…?



「このまま放っておく訳にはいかないんだ。少しでもいいから何か話せることはないかな?」



刑事の口調は優しかったが
顔は決して笑っておらず
他の人達の空気も張り詰めている


ただ事ではないんだと言わんばかりに
みんなが真剣に由梨を見ている



「白川さん。何か話せないかな?」



『…何でもないです。』



どうしてだか、由梨は刑事に本当のことを
話せなかった




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