君に恋した冬
第22章 君に恋した冬
思い出した…何もかも…
『アキラ…どうして…』
カタカタと小さく震えながらアキラの腕をギュッと握った
アキラはそれを黙って受け止めてくれる
『どうして…私が助けてって言った事を…
教えてくれなかったの…』
全部…全部…自分が悪い様にして…
私を庇ったの…?
アキラは少し苦しそうな顔をして
由梨の頬をつたう涙をそっと親指で拭き取ってくれる
「どっちにしろ…俺が軽はずみな事をしてしまったから、お前の親父さんは死んでしまった…
俺が悪いのに変わりはない」
『でも…!私が言わなければ…
アキラはそんな事…しなかったでしょう…?』
「……わからない…」
アキラ…昔からだったんだね…
全てを自分自身で背負って
私を守ろうとしてくれる
悪いのは私なのに…
【お母さんを返して】
こんな私の言葉のせいで…今まで苦しめた…
私が…殺してしまったのに…
『ごめんなさい……』
「なんで由梨が謝るんだよ」
『……ありがとう…』
真実を知ってしまっても…私が苦しまない様に
私の分まで全部背負って生きてきてくれたんだね…
全て自分のせいにして…
『…アキラ…好きだよ…。』
あなたを愛する事が出来て…
本当に良かった…
アキラは何も言わずにギュッと由梨を強く抱き締めた
その胸の中で由梨は静かに目を閉じて泣いた