
さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~
第2章 SideⅡ(沙絢(さあや))~デートの約束~
恐らく、考えたくもないことだけれど、お嬢さま育ちの母は父の安サラリーで賄う慎ましい暮らしに愛想が尽きていたのではないか。
家を出たいと母が宣言した時、両親は当然ながら何度も話し合いを持った。当時、沙絢はもう八歳になっていた。物事のすべては理解できずとも、大まかな輪郭くらいは察せられる年齢だ。二人はしばしば居間に閉じこもり真剣に話を重ねていたけれど、声を潜めていたので、沙絢には二人が何を話したのかは知らない。
家を出たいと母が宣言した時、両親は当然ながら何度も話し合いを持った。当時、沙絢はもう八歳になっていた。物事のすべては理解できずとも、大まかな輪郭くらいは察せられる年齢だ。二人はしばしば居間に閉じこもり真剣に話を重ねていたけれど、声を潜めていたので、沙絢には二人が何を話したのかは知らない。
