残業・メモ子
第30章 迷思
「…やっぱり…何か…ありましたか?」
石割は…スープをテーブルに置くと、私の顔を覗き込んで…
寂しそうに…笑っている――…
『……あった。
……探していた人を……見つけた?かもしれなくて…』
ピクッと…石割の体が固まった…
「かも…しれない?って…また、微妙ですね。
でも、芽衣子さんが…探すほどの人…会ってみたいですね」
私は、スープを一口飲んだ…
空っぽの胃に…ジワ〜っと染み込む…
『……確かめ…なきゃ…』
「…………」
石割は、グッとトレイを握る…
「へへへ…ちょっと…その人が羨ましいです…」
石割は、また…寂しい顔で…笑った―――――…
石割の気持ちは……あの時から…変わってはいないのだろうか…
顔だけの…印象からは、時間と会話は流れた―――…
私は…眼鏡を…テーブルに置いて…
ため息をつく…
スープの湯気が…その風に揺れた…
明日……
藤原さんに…
会いに行く―――――――――…