残業・メモ子
第38章 溝女
集合時間……
今頃……合流して…いるだろう…
私は、歩きながら……
畠山さんのまぶたや…濁らせた台詞を……思い出していた…
店の看板が見えてきた
イタリア料理専門店と書いてある…
オシャレで……入るのをためらった…
が――――…ここまで来たのだ!入る覚悟はできている!!!
私は、ダテメガネを外し、髪をかき上げ…顔を出した…
マフラーを外し、コートも前をガッと開けた
かばんから…口紅を出して…唇に色を乗せ…口角を上に上げる…
かばんも…持ち方を変え…
隣のガラスで見なりを整えた…
「……若い時の母…みたい」
そこには…猫背・眼鏡・地味のイメージが感じられない自分がいた…