残業・メモ子
第49章 迷女
『…ね〜ぇ〜…
なんで顔…隠すの〜?意味解んないんですけど〜〜〜?』
いつものファミレス――…
私の目の前には……
タバコに火を着けようとしている……
伊藤エリカ…
OLを辞め…夜の世界に入った…いろいろと迷惑な女…
『…眼鏡とか……髪とか…うざくないの〜?』
『うざいのは…貴方ですよ』
伊藤はキャハハっと笑ってメニューを物色する…
『黙ってれば可愛いのに…いろいろと残念な人ですね…』
『芽依子もでしょ〜?』
いつの間に…呼び捨て…
ったく…ネコを被るのを辞めたら…こうもサバサバと…
むかつくな…
『“芽依子さん”…“さん”は付けなさい…社会人なんだから』
『え〜、藤原っちも、大島りんも〜“芽依子”って呼び捨てにしてるし!いいじゃん!』
はあ?
藤原っち?大島りん?
『……何?今の呼び名…
鳥肌が……立ちそう……』
『あ〜…あの二人、この前、お店に飲みに来てくれてさ〜!
あのイケメン二人に、店がざわついたんだよ〜!!』