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残業・メモ子

第49章 迷女

伊藤は、お店の事…客の事をペラペラしゃべって…笑っていた…



私は、その話を聞きながら…野菜スープとパンを食べた…



『芽依子って…野菜スープ好きなの?

藤原っちがこの前言ってたから〜』




藤原の奴…飲み屋で人の話ししないでよ…



『…食事に興味がないの…
動ける程度に食べれればいいから』




『ふ〜ん。もったいな〜い』



『…勿体ない?』



伊藤は、サラダを口に運ぶと笑った…



『美味しいの食べると…
手っ取り早く、幸せになれるじゃん!』




幸せ…か…






美味しい……
食事が…幸せだなんて……


私の場合は……錯覚だったから…





『……私は…食事に幸せを感じた事がなかったのよ…

だから…かな…


手の込んだ料理とか……気持ち悪くて…』




母の…手の込んだ料理が……裏切りの味にしか感じられなかった…



だから………




『…芽依子…?

でもさ……命をくれた食材には…感謝しなくちゃね…』







ふと……伊藤を見ると…


優しい目をして…サラダに手を合わせていた…







『私の美貌のために…犠牲になってくれて…ありがとう…

いただきます―――――…

そして…ごちそうさま―――――…』




伊藤の意外な一面を…見た気がした…





『……伊藤さん…』



ふっと…伊藤が笑った……


生意気で…性格がネジ曲がっている子だが……



中心の軸は……曲がってないのかもしれない――――…





『つーか…芽依子って…

育ち…悪い?超…性格とか根性とか歪んでない?やばくない?』










撤回―――――――――…



『…ビッチに言われたくない…』




久しぶりに……バカみたいな会話をしなが…食事が出来た……




不思議と…いつもより……

野菜スープが、おいしく感じられた…





食材に感謝しながら食べたからか…




それとも―――――――…




まさかね……





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