残業・メモ子
第7章 困難
アパートに帰って……
シャワーを浴びる…
濡れた髪のまま……DVDをセットして…
再生した―――――…
タオルで…髪を拭きながら…流れる画面と…音声を…
見つめる――――――…
『ふふ…はは…』
笑えたが……息の漏れる…
渇いた笑い――――――…
新作のコメディー映画に…
愛想笑いしている…自分がいる―――――…
見ながら…ドライヤーで髪を乾かす…
見ながら…食パンを…かじる…
私は……テレビの画面の前の…小さなテーブルに、突っ伏して……ウトウトした…
笑うって――――――…
難しい―――――…
私は…
朝の…寒さで…目が覚めた…
テーブルの上には…
ボールペンと…簡易的なメモ用紙…
そこには…
“メモ子”と―――――…
影男の字を真似て書いた…
私のメモ……
それを…握り潰し…
ごみ箱に捨てた。