近くて甘い
第52章 未来のために
全く話が読めない…
それでも、私は加奈子さんの言葉を遮ることなく、話を聞き続けていた。
けれど…──
「しかもっ…不倫だなんてっ…」
「えっ…?」
思わず声を発した私に加奈子さんは、顔を上げて、またポロポロと泣き出した。
「加奈子さんっ…今なんて…っ」
「……っ…副社長のっ…お相手はっ…結婚している人なの…」
結婚している…?
「まさか…」
そんなはずない…
あの要さんが、
そんな、
不倫だなんて…っ。
言葉を失ったまま、私は放心状態で、加奈子さんの話を聞き取っていた。