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「彼もまた、社長並みに短気だな…」



そう爽やかに言い放った要を見つめながら、加奈子は飛び出そうになっている心臓をどうにかして鎮めようと身体を強ばらせる。




「……おはよう…」



「おっ、おはっ…おはようごじゃいますっ！」




必死な加奈子のことを、壁に優しく追いつめるようにして要はにっこりと微笑んだ。





ここでの生活が今まで通りなんていうのは本当は嘘だ──…



加奈子は、叶う訳が無いと思っていたその恋を成就させ、上司である要と秘密の交際をしている真っ只中だ。





「よくもまぁあんなに毎日怒鳴られるね…？」



「っ…きっ、気を付けてるつもりなんですけどっ…やっぱり私バカだからっ…」



「そんな事はないと思うけど…？」




一々甘く囁く要に顔が紅くなってしまって止まらない。



恥ずかしくなった加奈子は、要から目を反らして下を向いた。




「君には他の人にはない勢いがあるからね…少し落ち着けば誰よりも仕事が出来るようになるよ…」




励ましの言葉に、キュンっと胸が鳴った加奈子は、思わず胸の辺りを手でおさえた。