近くて甘い
第9章 青春の風が吹く
早めに朝学校に着いた私は、よしっ!と意気込んでノートを開いた。
書かれた数学の公式の表をじっと眺めて問題を解いていく。
あれから休日は昼に会社で、平日は光瑠さんの帰りが早い日の夜に勉強を見てもらっていた。
光瑠さんの家庭教師は
『こんなのも分からないのかっ!』
『ふざけるなっ!』
とか叫ばれながらのスパルタ教育───
かと思いきや、
実際は、
『出来ないんじゃなくて慣れてないだけだから、大丈夫だ』
『分からないなら一緒にやってやる』
なんて非常に優しい言葉をかけてくれる。
内容も分かりやすくて丁寧だし、正直私はびっくりしていた。