近くて甘い
第23章 薄情な作戦
何故か加奈子と仲良くなっている真希に、光瑠は少し嫌な予感がしてならない。
「………お前が騒ぐ事じゃないだろうが」
あくまで静かにそういうと、真希はムスッとして光瑠の元に近付いた。
「どうしてそんな冷たいんですかっ
!?」
「は?」
「要さんが幸せになってほしいと、光瑠さんは思わないんですかっ!?」
そして…
嫌な予感は的中する。
「……お前は、あのドジ女の応援をするつもりか?」
目を見開いて黙った真希に、光瑠はフッと笑った。
「やめとけ」
「っ…何でですかっ!?」
こいつは本気で言っているのだろうか…
だとしたら、あまりに残酷だ…
「関根に幸せになってほしいだなんて考えるのは、結局お前の自己満足だ」
ふと、視線はユキに落とした光瑠は、昨日の真希の事を思い出していた。
上気した頰に荒い息遣い。
そしてあの、潤んだ目…
何もしなかったとは言え、あの様子の真希を関根が見たのなら──…
「っ…!自己満足なんかじゃないですっ!私は本気で要さんに幸せになってほしくてっ!」