テキストサイズ

近くて甘い

第25章 選択の代償

有川邸の扉が開く。



「おかえりなさいませ…」



すぐに出迎えた執事は主人から荷物を受け取った。



「あ…ぁ」



光瑠が返事を言い淀ませたのは、そんな古畑の荷物を受け取る手つきや、周りのメイドの視線が冷ややかに感じたからだ。



何かしたか…?



朝の記憶などを手繰り寄せるが、心当たりはない。



不思議に思っていると、やはり怒った様子の古畑がキッときつく光瑠のことを睨み、無言ですばやく階段の方を指差した。


は?


何をそんなにピリピリしているのか。


逆に腹立たしく思いながら、光瑠は指差された階段の方に視線を向けた。


そこには…
階段の下段の隅にうずくまるようにして腰掛ける、真希の姿があった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ