近くて甘い
第31章 if...
「謝らないで下さい…
むしろ僕は社長に感謝したい」
「…?」
訳が分からず、光瑠は、ジッと要を見つめた。
失明したものとは思えないほどの優しい笑顔。
人がいいのは分かっていたことだが、やはり、そんな言葉では、光瑠の罪悪感は拭えない。
「突然ですが…
社長に紹介したい人が…」
「紹介…?」
後ろを振り返りながら、要が後ろに手を伸ばす。
「真希…こっちに…」
「はい」
俯き加減で現れた髪の長い少女。
「社長のお蔭で、僕は彼女に出会う事が出来ました…」
要の声音に幸せが満ちる。
光瑠はそれを感じながら、黙って要の言葉を聞いていた。
「藤木 真希…
僕の大切な女性(ひと)です…」
その説明に光瑠は大きく目を見開いた。
大切な人…
それは…