近くて甘い
第36章 メイドの恋模様♪
「本当はあんなにスカート短くないんだけどなぁ…」
「まぁあれは、男子の希望っていうか、なんていうか…」
苦笑いしながら、浩平は愛花を見た。
んん…と唸る愛花の髪が風で揺れる。
浩平は空を見上げて、息を吐いた。
こうしてたまに、愛花と屋上に行くことが奇妙な日課に鳴りつつある。
元はと言えば、偶然鉢合わせたのがきっかけなのだが、お互いにお互いの秘密を知っている二人は、何故か話しやすくて、気付いたらここに来ることをお互い楽しみにしていた。
「メイド喫茶ってよく知らないんだけど…」
「え?メイドなのに知らねぇの?」
少しからかうようにして浩平が言った。
先ほどクラスで文化祭の出し物を決めた。
執事喫茶とメイド喫茶で男女の意見が割れた結果、浩平たちのクラスの出し物は『執事メイド喫茶』に決まった。
「だって、私がやってるのは本当のメイドの仕事だもんっ!」
誰にでも敬語の愛花だが、浩平がタメ口でいいと強く言ったので、浩平相手にだけは、タメ口で話していた。
最初は話しにくかったけど、今はこの方が楽かも…
愛花はジッと浩平の事を見た。