近くて甘い
第43章 将来の扉
よそ行きの笑顔を崩さない光瑠さんが奇妙で仕方が無い…
渋々壇上に上がったら、さっきまででは考えられないほどのフラッシュの音が鳴り響いた。
「光瑠さんっ…どういうつもりですかっ…」
小声でそう言ったら、満面の笑みで光瑠さんは私の腰を掴んで引き付けた。
「きゃっ…ちょっとっ…光瑠さんっ…!?」
「ご紹介します…彼女が私の婚約者の藤木真希です…」
っっっちょっとっ…!!!!
強引な光瑠さんに開いた口が塞がらない。
報道陣から様々な質問が飛び交っているが全く何を言っているか聞き取れないしっ…
「ねぇっ…光瑠さんってばっ…」
「───随分楽しそうに関根と話してたな…」
「っ…まさかそれでっ…」
「いいから、カメラに笑顔を向けろ。新聞の一面に仏頂面が載っても俺は知らん」
「なっ…」