近くて甘い
第48章 想いは混ざる
「こっ、これっ….今日の分のクッキーですっ…」
押し付けられたクッキーを受け取りながら、要はにっこりと微笑んだ。
「ありがとう…いつも、今日は何味だろうって考えるのがとても楽しみだよ」
「っ…………」
彼は、あまりに爽やかだ…
何度会っても慣れない。
出来すぎているその輝かしい姿に、想いは募るばかりだ。
「あ…あと…」
「……?なんでしょう?」
首を傾げて、要のことを見上げると、要はニヤリといたずらっぽく笑った。
っ………なんか嫌な予感っ…
「今日の田部さんの髪型はどんなかなぁって…それも楽しみだ…」
「っ……絶対に明日はキメてきますからっ…!!」
大きな声でムキになって叫んだ加奈子を見て、要は腹を抱えて笑った。
やはり彼女は面白い…
少しだけ沈んでいた気持ちが上向きに上がるのを感じながら、懲りずに加奈子のことをからかっていたその時だった…
「………要くん…」
懐かしく響く声に要は笑うのやめて固まった。
そんな要の様子を見て、加奈子はん?と顔をしかめる。
……?どうしたんだろう?
そして……
「やっと会えたっ…」
この美女は何者!?