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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

「相変わらず辛気くさいな」

倉田さんが心底馬鹿にしたような顔であたしを見た。

「課長がいなくなるまでずっとそうしてるつもりか?」

「だって…」

「そのままだと、課長がいなくなってもそこから抜け出せなくなるぞ」

給湯室に置いてあるコーヒーを入れながら

「だからどうにかしろって言ってんのに」

と、あたしに発破をかける。

「諦めるのか、諦めないのか。どっちかしかねぇんだからな」

「…はい」

倉田さんが言うことは真っ当至極で。

突き放したように言うのも、結局はあたしが自分で決めなきゃいけないからで。

分かってる。分かってる…けど。

諦めない、のなら。

あたしは何をしたらいい?

告白して、断られたのに。

どうしたらいいのよ!?




そして時間だけは過ぎていって…

ついに、この支社での課長の最後の出勤日になってしまった…。

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