
もっとして♡
第5章 シェアハウスのお兄ちゃん
愛「……ねぇ…」
あたしは無意識のうちに男に話しかけていた。
男はピクリと身体を動かしたが、こっを向こうとしない。
羽「……………何?」
愛「羽宇にぃさ、」
羽「……」
愛「この事バレたら困る?」
何故か明るい声が出た。
羽「ッ…」
言葉に詰まってる様子。
愛「あ、困らないか!だって、さっきバレてもいいとか言ってたし!」
羽「………俺がバラされたく無いって分かってて言ってるだろ。」
男はあたしの方を向いて、睨んできた。
でも、不思議と怖くない。
愛「違うよ!バラされたく無いなら黙ってあげようと思って♪」
羽「!」
あたしが言った言葉に対してか、それとも笑顔に対してか分からないけど、羽宇にぃは凄く驚いた表情をした。
羽「……………それをネタに俺を脅すつもりだろ」
愛「違うよー!何もしない。羽宇にぃが嫌がることはしないもん。」
羽「な、んで…」
流石にいつも冷静な羽宇にぃも動揺してる。
愛「何でって…」
羽「…」
愛「羽宇にぃの事が“大好き”だからに決まってんじゃん!」
あたしは飛びっきりの笑顔を見せながら羽宇にぃへ言った。
羽「な、!?」
さっきよりもっと動揺する羽宇にぃ。
愛「クスクス、何でそんなに動揺してるの?」
羽「何でって、愛海…今俺が何やったか…ッ」
愛「でも、好きなんだもん。羽宇にぃが大好きなんだもん♪」
“また”飛びっきりのニセ笑顔で言うあたし。
羽「ッ…本当に頭を少し冷やせ。俺は先に晩飯食っとくから」
愛「うん、分かった!」
そう言って男が部屋から出ていく姿をニコニコしながら目線だけで見送った。
ーガチャン
部屋のドアが閉まって数秒後、
愛「大ッ嫌い」
静かな部屋にあたしの呟いた一言が響いたのだった。
つづく゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*
