禁断兄妹
第85章 禁断兄妹9th プロローグ
───きゃー!!!ごめんなさいごめんなさい!!何も見てない、見てないよー!!───
叫びながら
ユーティリティを飛び出していった萌
一陣の風が吹き抜けていったドアが
静かに閉じて
残された俺は一人
ペンダントの上から
高鳴る胸を押さえていた。
萌の中で
何かが動き出している
本能が告げるそれは
不意に訪れた
福音
ペンダントの中を勝手に見てしまうほど
萌の中で
俺に対する興味が高まっている
俺の身体を
茫然と見ていた
でも
熱く熟れるような瞳で
見ていた
愛を交わし合っていたあの頃を
一瞬彷彿とさせる瞳
それが
たまらなく
愛おしくて
「萌‥‥」
この胸の高鳴り
聞こえるか
萌
こんなにも
お前を求め
焦がれている俺の鼓動
伝わるか
萌
お前の瞳だけで
兆してしまうほど
熱く燃え上がっている身体
あれから七年
ついに時は来たのか
萌