禁断兄妹
第13章 ごめん萌
その数日後
俺は年の近い所属モデルの何人かと一緒に事務所に呼ばれた。
オーナーを交えて今後のスケジュールや
オーディションやらの打ち合わせ。
夕方から始まったそれは
当初一時間程度という話だったが
終わって事務所を出るともう真っ暗で
街にはネオンが明るく輝いていた。
これからみんなで飲みに行くことになってるが
バイトがあるという由奈は残念そうに帰っていく。
由奈は同じ年のモデル仲間だ。
何度も振り返っては俺達に手を振る由奈
可愛い仕草だが
立ち去るタイミングがつかめない
俺は軽い苛立ちを感じながらその後ろ姿を見送った。
「由奈って、柊兄狙いだったんだね。知らなかった」
横で一緒に手を振っていた和虎が笑う。
「俺も」
俺は肩をすくめた。
由奈は仲のいい女友達だったけれど
俺が最近フリーになったことを知って
今日はあからさまにアピールしてきた。
以前の俺なら
悪い気はしなかっただろうし
お決まりのパターンで付き合ってただろうけど
今の俺にそんな気はない。
明後日
父さんは出張から帰ってくる。
父さんと話をつけて
萌に全てを話す。
俺はそのことで頭がいっぱいだった。