禁断兄妹
第24章 美弥子の告白
「巽さんは優しかった。
私といると気持ちが安らぐと言ってくれたわ。
時には手を繋いだり、抱き締めてもらうこともあった。でも身体の関係は一度もなかった。キスさえしたことがなかったの。
そのことが逆にずる賢い私の強みだった。
巽さんには、たとえ身体の関係がなくとも結局は不倫だという自覚があって、その罪の意識で巽さんは何度も私を遠ざけようとした。
彼を失いたくない私は、これは不倫じゃない、ひとつの友情の形なんだと、巽さんにも自分自身にも言い聞かせて、この関係を、か細い繋がりを必死に守ってきた。
二年間‥‥奥様が亡くなるまで‥‥」