禁断兄妹
第33章 熱帯夜 ~ひとつになる夜~
お兄ちゃんの背丈よりも高くなった視界
「中に入ろうか‥‥」
甘く微笑みながら私を見上げるお兄ちゃんが眩しくて
どぎまぎ
私は俯いた。
昔
よくこんな風に抱き上げてくれたけれど
こんなに高くなかった
こんなにドキドキしなかった
「お兄ちゃんの身体、冷たい‥‥」
「誰かさんが一時間も風呂に入るから‥‥内側の熱を冷ますのに大変でね」
「‥‥ご、ごめんなさい‥‥」
「こんなに焦らして。ひどい女だね、萌は‥‥許さない」
言葉は意地悪だけれど
私を見上げるお兄ちゃんの顔は楽しげで
上目使いで私を見るその瞳が
優しくて
すごく
優しくて
包み込まれるような愛情を感じる。
それはずっと変わらない
小さな頃から
ずっと
私は引き寄せられるように
お兄ちゃんの微笑んだ形の唇に
そっと口づけた。