禁断兄妹
第35章 一人じゃない
「柊‥‥」
「気持ちがコントロールできなくなって、ひどいことをしたし、言った。本当に、すみませんでした‥‥」
俺は更に深く頭を下げながら
こんな風に真剣に謝るのは
父さんに対しても
他の誰かに対しても
初めてかもしれないと思った。
「‥‥顔、上げてくれ」
温かい声がした。
「悪いのは俺だ‥‥俺が卑怯で臆病な男だった。それだけだ」
「‥‥」
「来てくれて‥‥ありがとうな」
頭を下げたままの俺に
父さんの声は少し震えてるように聞こえた。
そして俺も今口を開けば
声が震えてしまいそうな気がした。