禁断兄妹
第38章 あなたを助けたい
「到着‥‥」
マンションの前まで私を送ってくれた柊
隣に立つ私の肩にぽんと手を置く。
「母さんによろしくな」
「うん。送ってくれてありがとう」
「どういたしまして」
柊はこれから仕事の人と打合せを兼ねた食事の予定があるから
家には寄らずに帰ってしまう。
「後で電話する‥‥じゃあな」
「うん、気をつけて帰ってね」
「ああ‥‥ほら、中に入れよ。寒いから」
ちょうど中から出てきた人がいて開いた自動ドア
柊が優しく私の背中を押す。
中に入って振り返ると
透明なガラスが私達を隔てて
音もなく閉まった。
さっきまで隣にあった優しい笑顔が
遠い
名残惜しくて動けないでいる私に
行きなさい、と言うように手を動かす柊。
頷くと
笑顔の柊が顔の高さまで手を上げるいつもの仕草をして
歩き出す。