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禁断兄妹

第50章 禁断兄妹5th プロローグ


柊と灰谷さんのことがどうしても気になった私はこっそり後をつけ
植え込みの影に隠れて
息を殺し二人の会話を聞いていた。

灰谷さんは立ち去り際
身を隠している私の真正面で足を止め
迷いなく私へ視線を向けた。

あなたがそこにいたことは最初から気づいていましたよ
そう言われた気がして
凍りついた。

───大切な人を守れなかったことが、きっかけです───

いつだったか灰谷さんに格闘技を始めたきっかけを聞いた時
そう言っていた。

大切な人は誰だったのか
守れなくてその人はどうなってしまったのか
灰谷さんはそれ以上言わなかったし
私も聞けなかった。

その時の深い森のような瞳の色
さっきと同じだった。

柊は
灰谷さんは私のことが好きなんだと言っていたけれど
好きとかではなくて
その守れなかった大切な人に
私を重ねているような気がする。

柊が立ち去った後も
灰谷さんの眼差しに縛られたままの固い身体
必死に奮い立たせて
私は学校へと駆け出した。

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