それでも好きな人
第14章 同じ穴のムジナ
香苗「…」
美鈴「ただいま」
香苗「お帰り、ケーキ買ってきたけど食
べる?」
美鈴「食べる」
香苗「じゃあ着替えて手洗って」
美鈴「は~い」
香苗「…」
智之と会った日
何事もなかったように
家事をこなし美鈴に接していた香苗
家でシャワーを浴びて
体に染み付いた智之の匂いを消した
今日の事は誰も知らない、バレるわけが
ない
そう思っていた
だけど…
香苗「どうぞ」
美鈴「美味しそ…!?」
だけど証拠は残っていた…
美鈴「…」
香苗「食べないの?」
美鈴「あっ食べるよ…食べる…」
香苗「私も食べよう」
美鈴「…」
体に染み付いた匂い
それはシャワーで洗い流した
だけど香苗が今着ている服からは智之の
匂いが
パーティー会場で感じた
あの忌まわしい記憶を呼び覚ます
匂いがしていた
香苗「うんっ、美味しいね」
美鈴「…うん」