それでも好きな人
第5章 葛藤
美鈴「…」
帰りたくなくて
公園に寄り道した美鈴
今日は香苗が病院で検査を受ける日
きっと香苗は
病院で母子手帳をもらって
赤ちゃんのエコー写真を喜びの表情で
見せびらかすはず
香苗は悪くない
香苗は何も悪くない
悪いのは全部自分、自分一人…
美鈴「ちゃんと笑えるかな…私…」
公園内のベンチに座り
何気なく視線を公園の外に移した時
香苗「…」
美鈴「お姉ちゃん?」
買い物帰りなのか
両手いっぱいにスーパーの袋を抱え
歩道をゆっくり歩いていた
きっと病院で
お腹の子の為に栄養のある物を食べろと
言われたのだろう
美鈴「お姉ちゃん」
香苗「!!」
美鈴「重いでしょう、片方持つよ」
香苗「あっ、ありがとう…」
重くて大変だろうと
美鈴は買い物袋を半分持ってあげた
突然声をかけられ驚いた様子の香苗だっ
たが
驚いたというか
香苗の様子はどこか変で…
香苗「…」
美鈴「どうかしたの?」