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華のしずく~あなた色に染められて~

第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】

 その夜。寧子は夢を見た。
 寧子は松姫と呼ばれていた幼い頃に戻っていた。秀継は―当時は松若丸といっていた少年の姿であった。自分たちを取り囲むのは一面の白い花が咲き群れる野原。何の花かはしかとは判らないけれど、菊の花にも似ている。松若丸が寧子のはるか前方を歩いている。寧子は弟を追いかけ、呼び止めようとするのだが、何故か金縛りにあったように、身体が動かず声も出ない。

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