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華のしずく~あなた色に染められて~

第26章 【月華―月姫(TSUKIHI)―~華のしずく~】 月華

~月華~

 吐く息が白かった。
 まだ寒さの残る浅い春の宵、夜気は冬並に冷たい。月姫(つきひ)は小さく吐息を洩らし、頭上を振り仰いだ。寒緋桜―、濃い紅いろの桜の花が今を盛りと咲き誇っている。

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