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華のしずく~あなた色に染められて~

第26章 【月華―月姫(TSUKIHI)―~華のしずく~】 月華

 男はどうやら、それを訝しんでいるようではあったが、凍れる蒼白い月の夜、寒緋桜の下で緋の傘をかざして佇む月姫の姿は不思議と違和感なく、しっくりと周囲の景色に馴染んでいた。まるで、絵姿から抜け出してきたかのような、眼のさめるような美貌である。
 その時、ふいに一羽の蝶がひらひらと月姫の近くへと舞い降りてきた。

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