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華のしずく~あなた色に染められて~

第26章 【月華―月姫(TSUKIHI)―~華のしずく~】 月華

「月姫―」
 名を呼ばれ、強く抱きしめられた月姫は固く眼を閉じた。
 その夜を境に、信太郎は妓楼に通ってきた。逢瀬を重ねてゆく毎に、月姫の信太郎への思慕(おもい)は深まった。しかし、信太郎が一体、どこに住み、誰に仕える武士なのか、どれだけ深い関係になっても、男の身の上については何一つ知らなかった。

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