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華のしずく~あなた色に染められて~

第26章 【月華―月姫(TSUKIHI)―~華のしずく~】 月華

 月姫の瞼に初めて信太郎と出逢った宵のことが浮かんだ。あの宵から既にひと月が過ぎている。寒緋桜の時季は終わり、卯月に咲く桜が花開く時季になろうとしていた。
 あの夜から、月姫の辿る運命(うんめい)は、この夜の一瞬へと続いていた。信太郎に逢ったのがさだめなら、彼の住む屋敷へとゆくのもまた、月姫のさだめ。

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